親の金で借金返済。
親の金で借金返済。
翌日、私はすがすがしい気持ちで銀行口座に四万円を入金しました。
何せ、苦労しなくても借金を返すことができたのですから。
利息分は、昨日、家にある最後の漫画を売っぱらった千五百円があったので、それも入金しました。
翌朝、「少年ジャンプ」を買いにコンビニに寄ったついでに銀行のATMで残高照会をすると、きちんと引き落とされてました。
ただ、そこで私は重大なことに気付きます。
「あ、携帯料金が払えない…」
もともと、親からの小遣いの半分近くは、携帯料金の支払いに充当してました。日雇い派遣だと通話を頻繁にする必要があるため、月のプランも無料通話額の多い(当時)一番上位から二つ目のもので、毎月13,000円くらいかかってました。
携帯料金を遅延して支払うことはパチスロをはじめてから毎月のことでしたが、さすがに払わなかったことはありません。
…結局、期日までに払えず、携帯電話は2日ほど止められました。これはさすがに、日雇いで2日間働いた金を使わずに、支払いを優先しました。
(携帯止められたら日雇いバイト自体できなくなりますからね…)
「あれ、電話調子悪かった? 昨日繋がらなかったけど…」
サークル関係でたまたま連絡をくれた友人からそう聞かれました。
「ああごめん、なくしたんで止めてたんだよねー。いまは見つかって大丈夫だよ」
ちょっと、ヒヤリとする出来事でした。
「よし、小遣いも四万円ならいけそうだな」
自分のなかで「四万円の借金は返済可能」という前例がつくれてしまった以上、四万円はもはや借金ではなく、「自分の自由に使っていい金」となりました。
翌月、スーツを買いに行きました。
五万円貰いましたが、買ったのは二万五千円のスーツでした。レシートは渡しません。
余りの二万五千円はパチスロに使いました。
大学の夏休みもそろそろ終わりを迎えます。
大学の就活支援も、「ガイダンス」から「OB訪問」「面接対策」と、より具体的になっていきました。
「よし、もうそろそろパチスロも終わりだ。切り替えて就活しなきゃ」
その月の借金は順調で、借入限度額の五万円に到達しました。