脱ギャンブルの試みも空しく…
脱ギャンブルの試みも空しく…
ATMとパチンコ屋をダッシュで往復しているときは「まあ、なんとかなるだろ」と思ってました。「いざとなれば、親を頼ればいい」そう思ってました。
限度額最後の一万円も、あっさりコインサンドに飲まれていきました。
帰り道、また我に返り、また深い後悔に襲われます。
「また負けちゃった、バイトで稼がないと…もうやめよう、パチスロやめよう…」
夏休みは終わりを迎えました。ゼミのために大学に行くと、スーツ姿の学生を多く見かけました。
それと同時に、多くの大学生にとって、再び活気のある日常が戻ってきました。
キャンパスを見渡せば、オシャレをして、女性と楽しそうに会話している学生。スケボー片手に仲間と大笑いしている学生。留学生と軽快に英会話している学生…
私は、自分だけ、どこか別の空間にいるような感覚に襲われました。
身体がふわふわと浮いていて、自分の意識は自分とも周りとも隔離されてしまったような感覚…脳が現実逃避したがっているからなのでしょうか。
気持ちは正常ですが、後頭部がズキズキします。いままで避けていた現実を、また直視してしまいました。
「俺はこの2年半、何をしていたんだろう? なんで借金なんかしてるんだ? なんで大学に行かずにパチスロしてるんだ? なんで昼飯を食べる金すらない生活をしてるんだ? …俺は取り返しのつかないことをしているんじゃないか? 何故パチスロをやめないんだ?」
自分に問いかけますが、そんなことはいつものことです。どんなに自分を責めようと、どんなにやめますと神に誓っても、やめられません。理屈じゃないのです。
また、変な汗が出てきました。その日は人と会うことが突然怖くなり、ゼミに行かず、帰りました。
禁パチ的なことは、いろいろ試しました。
・現金しか持ち歩かない
要は、キャッシュカード、クレジットカードがあると残高0円になるまで引き出してしまうので、だったらそもそも持ち歩かなければいいと。
これは、ダメでした。現金が0円になれば、結局ダッシュで自宅に戻り、ガムテープでガチガチに固めたキャッシュカードを解いてでも金をおろしてしまいました。
・ゲームセンターのパチスロで我慢
これもダメでした。それどころか、逆効果でした。金がないときにやると、ますますパチスロを打ちたくなり、パチスロでお札をすべて失うと、貴重な小銭までも消えていくようになってしまいました。
まあ、根底には金が欲しいという理由があってパチスロしてるわけで、ゲーセンのメダルが増えたところで、虚しくなるだけでした。
・携帯の待ち受けに「パチスロ禁止!」とデカデカと書く。
・パチスロをしないと書いたメモ帳を財布に忍ばせておく。
こんな精神論みたいな方法でやめられてたら、今頃、私はこのブログを書いていません。
…これは禁パチの一例に過ぎません。周りの学生は就職活動に向けて自己分析をしてましたが、私はその頃「何故俺はパチスロをやめられないのか?」と不毛な自己分析を続けていました。
翌月、私宛に届いた明細には「ご請求額50,764円」の文字がありました。
手持ちの金は8000円ほど。
身体中から汗が引いていきました。