私の生活は、人生は、破綻しました。
私の生活は、人生は、破綻しました。
私の生活は、人生は、破綻しました。
借金の延滞すら耐性がついてしまうという異常事態。
パチスロの打ち方も、病的になっていきました。
まず、パチスロをするとき「勝ちたい」という気持ちで行きません。
「負けたい」と思うようになりました。
パチンコ屋に行くと、一番ハイリスクの機種に座り、あたかも「いかに早く持ち金をなくすことができるか」というゲームに興じているようでした。
2万円の勝ちでも満足できず、その2万円を明らかに低設定の台に投資するのです。
「今日はどれだけ負けられるだろう」
「今日は午前中で全額なくなるかな」
「はやくゼロになりたい…」
ずーっと台に向かっていると、ずーっとまばゆい光に触れていると、後頭部がズキズキして、まぶたがピクピク痙攣していきました。激しい肩凝りもします。
「俺は痴呆症にでもなって、早く人生を終わらせたい」「俺の脳よ、壊れろ」そう思いながら打っていました。
かつて自分が馬鹿にしていた人たちは、いまどうしているのでしょう。
私は破壊的になりながらも、まだ「俺はこいつらより勝っている」「俺はこいつらのうちで誰よりも高学歴なんだ」「俺は将来すごい奴になるんだ」と思っていました。
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12月24日。
世はクリスマス・イブを迎えます。
コンビニの前でサンタのコスチュームを着た店員がチキンを売り捌き、それを買ったサラリーマンが足早に帰路につきます。
大学一年の頃、ちょっと背伸びをして彼女を高いレストランに誘い、緊張しながらプレゼントを渡したことを思い出しました。
私は彼女にネックレスをプレゼントしました。マルイで買った、ちょっと安いですが、銀のネックレスです。彼女はとても嬉しそうに、本当に嬉しそうに、私に「ありがとう」と言ってくれました。
彼女はいまどこでなにをしているのでしょう。他の彼をみつけて、楽しく過ごしているのでしょうか。ネックレスは、もう捨ててしまったでしょうか。
去年のクリスマスイブを振り返ります。
去年は、パチスロをしていました。
その年も、パチスロをしていました。
クリスマスの誘いはサークルの友人から一件だけありましたが、断りました。
もう、誰にも会いたくありませんでした。
家族はチキンを買ってささやかに祝いごとをしていましたが、去年も今年も用事があると嘘をついて、パチスロをしていました。
私は私と私に関わってくれた人たちが植えた無数の苗を、ブルドーザーでなぎはらい、除草剤を巻き、徹底して破壊していきました。
雑草は、それでも根さえ残っていれば、やがて息を吹き返し、もとどおりになります。
私が壊したのは雑草だったのでしょうか。
雑草であればいいと思います。
雑草であればいい。そう思います。
ただ、この3年間で失ったものは、自分の許容度を越え、あまりにも大きすぎました。
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