ギャンブル依存と就活
ギャンブル依存と就活
私はいわゆる「天井張り付き※」のまま、後期試験を迎えました。
※常に限度額一杯まで借りている状態のこと
もう、ほとんど大学に行ってません。
生活の中心は、勉強でも試験でももちろんなく、カネを稼ぐことと家族への隠蔽工作にありました。
だからといって、先述のとおり、人にノートを借りることはプライドが許せませんでしたので、人に頼らず試験に臨むこととなりました。
「はい、はじめ!」
試験監督がそう言い、試験用紙をひっくり返しますが、問題の意味がさっぱりわかりません。
「やめ。試験終了」
白紙のまま提出…
「終わった」と消沈する気持ちと、やけっぱちで、もうどうにでもなれと思う気持ちが同居していました。
「お、久し振り!できた?」
なるべく人に見つからないように、コソコソ移動していましたが、知人に見つかってしまいました。
「いや、全然…」
「マジで? でも最終講義で出るっていったとこがまんま出たからウケたわ」
『え、そうなんだ…』
「それはそうと、就活決まった?」
「うーん、最終まできてるとこがいくつか…坂田君(仮)は?」
「一社内定取れたけど、正直微妙…」
「どういう業界?」
「証券だね」
「へぇ…」
周囲は就活の話で持ちきりでした。いまは就活もだいぶ遅くなっているようでしたが、私の頃は大学3年のうちに内々定を貰うことが普通でした。
私はと言えば、一度、合同会社説明会にいっただけ。
その説明会も、「会社のひと」が怖くて、個別のブースに行くことができませんでした。
「君は、得意なものはあるの?」
「趣味は?」
「大学ではどんなことに力をいれたの?」
ブースに参加者が少ない状況で、個別にこんなことを聞かれたら、気が狂うでしょう。ブースにいる人事担当者はみんな優しそうな人でしたが、何か見透かされているような感じがして嫌でした。