「どうしようもないクズ」への進化、もとい退化。
「どうしようもないクズ」への進化、もとい退化。
ちょっとばかし、借金の話に戻ります。
私は天井張り付きの状況で、「借金は自分の自由なカネ」という感覚のまま、相変わらず(限度額まで)借り放題、使い放題の生活をしていました。
延滞という行為に耐性ができ、精神的な負担なくカード会社からの電話をスルーする術も身につけました。
「森田様、引き落としが確認できませんでしたので、弊社の口座までご入金お願いできますか?」
「え? さっき振り込みましたけど。54,320円ですよね?」
「入れ違いでございましたか。大変申し訳ござませんでした。では、こちらでお振込を確認させていただきます。ありがとうございました」
もちろん嘘。
以前の電話で、「銀行からクレジットカード会社に振込データが届くまで時間がかかる」ということを学んだ私は、敢えて午後3時以降にカード会社からの電話を取り、「振り込んだフリ」をしていました。
翌日、また電話が鳴ります。
「森田様。当社でご入金が確認できなかったのですが」
(うるせーな!振り込んでないんだから当たり前じゃねーか!)
「あ、すいません、昨日、振込先を間違えておりまして!先ほど振り込みましたので…」
「さようでございましたか。また確認させていただきます」
(畜生、さすがに今日振り込まないとダメか…)
**
自宅。
「母さん、小遣い欲しいな~」
「ああ、はいはい…ねえ、就活はどうなの?」
「ありがと。うーん、まだ内定は取れないね…」
(もう少し偽装のバリエーションを増やしたほうがよさそうだな…)
そのあと、返済。
もうこの流れが「日常」になっていました。罪悪も、ちょっと蚊に刺されたくらいのものしか感じません。クズからさらなるクズへ、いえ、「どうしようもないクズ」へと進化、もとい退化していきました。