カードによる借金の限界。
カードによる借金の限界。
留年プランは、結局まだなにも行動を起こせずにいました。
何故か?
単純に、怖かったからです。
本能的に、「それをやってしまったら私という人間は本当に終わる」ということを自覚していたからでしょう。
大学四年。8月。
工場や看板持ちなどのバイトで日銭を稼いで、翌日パチスロで全額使い果たし、ゲームソフトを売って現金化し、またバイトをして、また使い果たし、お札がなくなればゲームセンターで時間を潰したりしていました。
そんな生活。
自分がいま大学生であるとの自覚すら「たまに」になってました。
「森田君は学生?」
バイトのひとに聞かれて、ハッと、自身の身分を認識するのです。
毎日毎日、リセットボタンを押したいと思ってました。願わくば、大学生になる前に戻りたい。人並みに飲み会をして、人並みにサークルやバイトをして、それなりに勉強して、就職して。なにも望まないので、普通な幸せを得たい。いや、幸せでなくていい。いまの状況でさえなければ…。
『なんか今月、めちゃくちゃカード使ってるな。大丈夫かな。いくら使ったかあまり覚えてないし。でもまあ、なんだかんだ毎回切り抜けられてるし、そんなに気にするほどでもないか……』
今更ながら謎に思うのが、これだけキャッシングに依存しておきながら、いままでほとんど「ショッピング枠」を使ってこなかったこと。
(まあ、私にとってはパチスロを打つ現金を調達するためのカードなので、当たり前といえば当たり前なのですが…)
こんなカネにだらしない人間が、そのような用途を知ってなにもなく終わるはずがありません。
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大学四年。9月。
明細が届きました。
お支払い日 9/**
お支払い金額 93,562円