ギャンブル依存症患者が綴るノンフィクション。

自戒の念を込めつつ、15年間に渡る「ギャンブル依存症」の悲惨な経験を赤裸々に綴ります。こんなダメ人間にはならないで下さい。毎日更新しています。

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追加
「11. ギャンブルのために大切なものを売ってしまった事がある。」

 


依存性の傾向が顕著に出始めてから、
私が最初に失った大切なものは、彼女でした。


彼女は、高校時代に塾で知り合った子でした。


小柄ですが、清楚で、かわいくて、自分には高嶺の花だと思っていました。休み時間も、多少話をしたことがある程度。


片想いをしたまま、
高校卒業後は、別々の大学に進みました。


彼女は、将来は必ず介護の道に進みたいからと、受ける大学のレベルを落としてまで、それ専門的な学問を備えた大学に進学しました。


「気になるけど、やっぱ自分には釣り合わないな」


と、諦めようとした時期でした。


大学生活が3ヶ月くらい経って、
プチ同窓会をして、意気投合。


そのまま付き合うようになりました。
(…って同窓会は私が仕込んだものでしたが)


そのあと、実はお互い両思いだったことがわかって、自分は余計舞い上がりました。


お互い初めての彼氏彼女でしたので、ぎこちないながらも、週に1~2回は必ず会って、途中下車の旅やら旅行やら食事やら、順調に付き合いを進めていきました。


普通の大学生同士の、健全な付き合い。


「将来は結婚したいな…」


まだ大学生ながら、
自然とそんなことを思ってました。


でも、付き合っている当初から(パチンコにハマる前から)、彼女に対してとてつもない劣等感を抱くことが多々ありました。


それは、将来についてです。


彼女は、やりたいことが明確でした。


介護の仕事をしたい。


大学も、それを追求するために選びました。


自分は真逆でした。


将来やりたいことなんてない。


大学も、受かることそれ自体が目的でした。


別に、学部なんて正直どこでもよかった。


だから、大学の専門的な講義も、
2ヶ月目には既に飽きていました。


彼女は、自分が通う大学をよく憧れの目線で見てくれました。「すごいよねー、将来はエリートになっちゃうのかなぁ」「みんな都会派で活発な人ばかりでしょ」「かわいいコ多そうだよね」


でも、私はそんな彼女の一言がたまらなく嫌でした。


『将来は漠然とエリートになりたいと思ってるけど、やりたいことがないよ…』


『確かに都会派で活発な人が多いけど、俺はそこで完全に浮いてたよ…』


『かわいいこは多いかも知れないけど、俺の周りはみんな地味だよ…』


イチイチ卑屈過ぎなのかも知れませんが、実際問題、「思い描いた大学生活と自分は違う方向にシフトしている」「大学に入れたのはいいが、俺は何をしたかったんだ?」


という二点を自覚し始めた自分にとって、その事実はジワジワとストレスになっていきました。