壊滅的な取得単位数。
壊滅的な取得単位数。
期末試験の結果が出ました。
取得単位 20/54
可/可/良/可/良…
取得単位は壊滅的でした。
恐ろしかったのが、こんな試験の受け方でも「もっと取れるだろう」と思っていたこと。
長らく「努力」「コツコツ」「準備」ということから逃げてきたからなのか、私の感覚はおかしくなっていきました。
なにもしてないはずなのに、失っているだけのはずなのに、「自分は天才なんだ」という万能感が、いままでよりも強固なものとなっていきました。
食堂で、無料の茶を飲みながら、試験1時間前にパラパラと教科書(あれば)をめくる。
それで、全部覚えた気になる。
試験も、「可」ぐらいは取れるだろうと思っていました。
私は本来は記憶力が悪く、言葉に発したり、なんども書いたり、人よりも数倍努力しないと全然覚えることができなかったはずですが…
20単位の内訳は、ゼミと、あとは課題提出方式の簡単な単位がメインでした。
筆記試験がある科目は、一つも取れていませんでした。
**
「なあ、単位どうだった?」
ゼミの帰り、たまたまキャンパスで遭遇した吉田(仮)が不安そうに聞いてきます。
「うん、36単位だった。卒業やばいかなぁ」
(もちろん嘘です)
「マジか!俺は30だった。来年8割近く単位を取らなきゃいけないって…俺ら卒業無理じゃね!?」
吉田は相変わらず、調子のいい話し方で言います。
「はは、だよな!卒業できなかったら、卒業旅行は次の年にどっか海外にでも行こっか!」
私もおどけて、返します。
「そーいやさ、佐伯いるじゃん?あいつ、これから国家一種受けるのに切り替えたらしいよ。ついこの前まで就活してたのに」
「へぇ、それはすごい」
「まーでもあいつなら多分受かるんだろうなあ、受かる気がする。俺ら不真面目人間とは違うもんな!」
「はは、そうだなぁ」
不真面目人間、と言われ、少し腹が立ちました。俺はお前よりはできる奴だよ、そう思いました。
「就活はどう?」
矢継ぎ早に吉田が聞いてきます。
「いや、まだ決まってない」
「そっか…俺、正直、全然やってないんだわ」
「マジで?」
「嘘ついてどーすんだよ、マジだよ。なんか、あまりやる気が起きなくて。イメージわかないんだよな。どうしたらいいのかな」
「はは、俺が聞きたいくらいだわ」
吉田は「就活していない」という事実を、他の人にはあまり言ってなかったのかも、と、なんとなく感じました。
ふと気を抜いたときの表情に陰が見えたからです。あまり、言い慣れていないような…
でも私は、笑顔の裏で、吉田が、単位不足で卒業できなくなることを望んでいました。
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帰り道、ターミナル駅にある大型書店に立ち寄りました。
通路の入口に沿って天井からぶらさがる案内板を、私は見ていました。
旅行雑誌、
情報誌、
ビジネス誌…
文学小説、
歴史小説、
漫画…
実用書、
専門誌、
資格試験…
資格試験…