ギャンブル依存症患者が綴るノンフィクション。

自戒の念を込めつつ、15年間に渡る「ギャンブル依存症」の悲惨な経験を赤裸々に綴ります。こんなダメ人間にはならないで下さい。毎日更新しています。

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友人の不幸を望む自分がいる。

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友人の不幸を望む自分がいる。

「じゃあまた!」


佐伯を見送る私は、感情を抑え、佐伯が見えなくなるまで曇った表情を見せませんでした。


不幸になればいいのに。
そう思いました。


不幸になればいいのに。


不動産とOA機器。どちらが不幸になるだろう。不動産のほうに誘導してやればよかった。

 


それにしても、失うことにはもう慣れているはずなのに、友達なんてどうでもいいと思っていたはずなのに、いつのまにか「佐伯にとって私は一番の友達」ではなくなっていました。それがとてもこたえました。


高校時代は、なんのことでも必ず私に聞いてきて、なんのことでも話し、苦楽を共有していました。


でもいまは、それがサークルの同僚や先輩に変わり、私は単なる「高校時代の友達」に成り下がっていました。


私は始発駅でずっと足踏みしているあいだ、佐伯は時間どおり電車に乗り、普通のスピードできちんと3年間を過ごしていたのです。


私は高校時代から何が変わったというのでしょう。大学入学までに築いた財産をひらすら食い潰してきただけなのではないか……それに気付いたとき、ゾッとしました。


「今日は久々で楽しかった!また飲もう!」


駅構内を無気力に歩いていると、佐伯からメールがありました。


「だな。飲もう!」


不幸になれ、と思いながら力を込めて送信ボタンを押しました。


パチンコ屋はどこも閉店している時間です。

駅構内ではどこで接点を持ったのかわからない不釣合いなカップルが、別れを惜しんで抱き合っていました。駅員は券売機の真下に散らかったオレンジ色の吐瀉物に、おがくずを撒いていました。


それにしても、と私は思いました。


「それにしても、今日の嘘はかなり自然だったな。この前の面接は相手が悪かっただけなんだ。俺は、どれだけ嘘をついても必ずバレないのだ、必ずバレない……」


駅員は手際よく吐瀉物をチリトリに入れ、カップルは相変わらず抱き合っていました。