ギャンブル依存症患者が綴るノンフィクション。

自戒の念を込めつつ、15年間に渡る「ギャンブル依存症」の悲惨な経験を赤裸々に綴ります。こんなダメ人間にはならないで下さい。毎日更新しています。

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ギャンブル依存症のはじまり02

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私は小さい頃から、ちょっと不良な人に憧れてました。
「学校サボっちった」
「パチンコで一万円スっちまったよ」
こういうことが気楽に言えるような人に憧れていました。
(まあ、果たしてそれが不良なのかと言えば、甚だ疑問なわけですが…)


何故かと言われたら、それは自分に最も縁がない世界だったから。
リアルな自分は周りから「真面目」と評され、「不健全なことはしない」人物でした。
でも私は、そんな「つまらない」「真面目」な自分が大嫌いでした。
(その背景などは、いずれ書きたいと思ってます)


…きっかけは、大学1年の8月。
なんてことのない平日でした。
夕刻まで続いた大学の講義を終え、地元駅に戻ってきて、確か午後7時くらいだったと思います。
夏の、まだ夕焼けに染まりきらない空を見ながら、ふと思いました。


『今日はバイトもないし、帰ろうかな。…あ。そういえば、大学生になってから一度はやってみたいことに、パチンコがあったな。パチンコ、やってみようかな。』
早速、どこにいこうかな、と考えたわけですが、二店ある地元のパチンコ屋のうち、駅前ではなく、駅から少しだけ離れているほうのパチンコ屋に入りました。
『誰かに見られたら恥ずかしい…』
そう思ったからです。


裏口から入ったにも関わらず、「いらっしゃいませー!」と明るく出迎えてくれた店員のお姉さん。
でも、私は入店するや否や、 衝撃を受けました。
『うわ!なんだここは!くっせ!煙草を燻したような臭いがする…それにこの鼓膜が破れるくらいの音はなんなんだよ!友達はこんな空間で遊んでるのかー、全然理解できない…』


店内はパチンコ台の発する色とりどりのフラッシュで煌びやかに、店内はユーロビートが爆音で掛かり、それはいままで自分が経験したことのない空間でした。
『くっせ!うるせー!こんなん事前に知ってたら絶対来てなかったわ!あーでももう入っちゃったし、いいや、これも経験と思って三千円だけ遊んで帰ろう!」


もうあとには引けない、諦めに似た感情とともに、まばらに空いていた店内から適当な台を見つけて座りました。
チラチラ、隣のおばさんを見ながら、見よう見まねで千円札をサンドに入れ、ハンドルを握ります。
座った台はサンヨーの「海物語」でした。


ちなみに「海物語」は、店舗によってはいまだメインで扱われている(バージョンは年々変わってます)超ヒット機種です。


当時はまだ出始めの頃で、液晶もいまと違って荒いドット絵でした。音楽も、ファミコンに毛が生えたような安っぽい電子音。
ピロッポピロピロピロッポピ~と、シンプルで耳に残る音楽に乗って横に流れていく魚たち。
『うーん、単調だ…本当に当たるのかな』
リーチは掛かりますが、全然見当違いのところで図柄が止まるだけ。


千円…二千円…と、順調に消化して、『やっぱりパチンコなんてやるもんじゃないな。でも取り敢えず経験として人に話せるくらいはパチンコやったぞ!くだらねーもう一生打たねー!』と誓い、最後の千円を入れたときのことでした。
『リーチ!』
これまでとは違い、シングルではなくダブルでリーチが掛かって、リーチ後の背景にはさっきまでの泡ではなく魚群が流れてきて、うえから女の子(マリンちゃん)が降ってきました。
『おお、さっきと違う!こんなパターンもあるんだな。…まーでもあたらんわな。』


ビュールリールリールルー♪
ビュールリールリールルー♪
音楽も、煽るような効果音が流れてきて、当たり図柄が近付くと、そこで止まることを期待させるために動きがスローになります。
ビュオビュオビュオビュオ!
(注:図柄が動く音)


『どうせ当たらないんだからさっさと終わってくれよ…』
ビュオビュオビュオビュオ
ビュオビュオビュオビュ
…ピタ


『…あ。当たった。』
チャンチャララララーン!
スーパーラッキー!
(台が祝福してくれる)

軽快な音楽が流れ、アタッカーが開き、台から溢れるように銀玉が出てきました。
『百三十五番。大当たりスタートしました』

と、フロア中に響く電子アナウンス。
…ですが、私は意外とテンション低め。

『当たりとか、もーどーでもいいわ!煙草クサ!帰りてー、早く終わってくれ!』
こんな風に思ってました。

ですが、引いたのは残念ながら(?)確変だったのです。(そのときは通常と確変の違いすらよくわかってませんでしたが、演出を見て当たりがもう一回続くことくらいはわかりました)


【二連目】
ビュオッビュオッビュオッビュオッ
『はいはい、次で終わりね。』
ビュオッビュオッビュ…ピタ

『あれ、また確変??』
チャンチャララララーン!
スーパーラッキー!


【三連目】
(背景に魚群が流れる)
ビュオッビュオッビュオッビュオッ
『あーもういいから終わってくれよー!なんかみんな帰り始めてるし、最後のほうまで残るのって凄い恥ずかしいよー!店員にもう止めるって言おうかな。。』

ビュオッビュオッビュオ…ピタ
『また!?』

チャンチャララララーン!
スーパーラッキー!


【四連目】
ビュオッビュオッビュオッ
『…よっしゃこうなったらもういけるとこまでいったるわ!』
よっしゃ確変!


【五連目】
ピタ…通常図柄。
さすがに時短も何事もなくスルー。
『よくわからんけどやっと終わった…』

夜十時くらいになり、客もまばらになってました。早く帰りたかった自分は呼び出しランプを押し、店員を呼びます。
確か、足元には四~五箱あったと思います(いまと違って、当時は一回の出玉が多かったですからね)。
店員は重たい箱を担いで、カウンターに玉を
流し込みます。

 

ザラザラーッ!
玉が雑にぶつかり合う音。自分の実力で出した大量の銀玉が、大量に吸い込まれる音。
…最後の一箱がカウンターに吸い込まれていくのを見たとき、私が抱いた感情は不思議と『達成感』でした。

『あんな苦行のような空間で、途中本当に何度も止めようと思ったけど、俺は逃げずに最後までやりきったんだ!』という達成感。

カウンターの姉ちゃんにレシートを渡すと、
『すべて交換でよろしいですか?』

と聞かれ、
何を何にすべて交換するのかよくわからないながらも「あ、はい」と答えました。
すると、ボールペンがはいった箱(いまは金のチップが入ったケースが主流ですよね)のようなものを渡されました。

なんとなく、これがお金になることがわかったので、前の人に着いていって、これも見よう見まねで景品交換所に持って行くと…
ペンが、三万五千円になりました。

『え!? こんなに!? 凄い、バイトの給料の三分の二くらいがこんな短時間で入ってきた! (でもすぐに思い直し)あー、でも予想外に酷い環境だったなぁ。もう当分いいや…』
真っ暗になった帰り道、煙草が染み付いた服の臭いを嗅ぎながらそう思うのでした。

でも、密かにこんなことも思ってました。
『パチンコ、意外と悪くないかも…』

…これがこの先、
十五年間も続く地獄への扉を開いた瞬間でした。

 

 

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