ギャンブル依存症患者が綴るノンフィクション。

自戒の念を込めつつ、15年間に渡る「ギャンブル依存症」の悲惨な経験を赤裸々に綴ります。こんなダメ人間にはならないで下さい。毎日更新しています。

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乖離していく感覚。

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gambling-addiction.hatenablog.com





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乖離していく感覚。

 

「お振込みが確認できませんでしたが」


「あ、すいません、ちょっと、諸用がありまして。さっきまでどうしてもお振込みできませんでした、すいません、本日これから振込みますので…」


(「返すお金がありません」とはさすがにいえなくとも、何故「今日」振込みますと言ってしまうのか…)


なけなしのカネをまたパチスロで全額使ってしまった私は、その日の晩に母親からカネをせびり、返済に回しました。

 


『2連続…いや、3連続か? かれこれ何ヶ月間もまともに返済日に返せてないな。でも、最初は延滞したときものすごいビビってたけど、意外とたいしたことないんだな~。それとも、入金確認を避けるためのいろんなテクニックを使ってるから、まんまとそれに騙されてんのかな?』


延滞に慣れてくると、期日までにカネを用意するという当たり前のことすらしなくなりました。数日経ち、ATMの前でクレジットカードを投入し、利用可能金額を調べます。


ゴリヨウカノウキンガク
50,000


この数字を見ると、毎度のことながら、生き返った気がしました。身体中から活力が湧いてきました。お金大好き。一生カネに困らない生活をしたい。ラクして稼ぎたい。ああ、また5万円も「自由なカネ」が手に入る。


『今週は肉体労働と夜勤でやたら疲れたな…よし、ストレス解消にここはパチスロを打とう』


理由はなんだっていいのです。ストレスが溜まろうが溜まらなろうが、どのみちパチスロを打つわけですから。


『吉川さんが親にバレたと言ってたが…俺は絶対にバレないぞ』


あのときの会話を思い返すだけで心臓がバクバクと鳴りましたが、恐怖は虚勢で無理やりかき消しました。


『とりあえず、1万円だけ』


5万円という数字が再び私の脳にスイッチを入れました。

ATMの自動ドアの目の前でもたつく老婆に舌打ちをして、競歩のような歩きでパチンコ屋に急ぎます。


-10,000


『クソ、馬鹿にしやがって!チャンスゾーン5連続スルーってなんだよ!』


-20,000


『単発でおわれるか!少なくとも2,000枚は出さないと気が済まない!』


-49,000


『まずいまずいまずいまずい。あと千円使ったら明日のバイトの電車賃がなくなる。どうする俺、どうする俺…いや、さすがにこれは使わないよね?』


-50,000


奇跡を信じて打ちましたが、何も起こりませんでした。1日5万円。利用可能金額が回復したその日に全額使い切る。お札がなくなるまで使い切る。


『あ、またやっちった…』


カネを稼ぐことすら面倒になりました。
そこで思い付いたのが…「クレジットカードのショッピング枠を使って最新のゲームソフトを買い、すぐに売る」行為。


大人気のソフトをイオンで買い、すぐに高額買取の店で売っぱらう。定価5,500円のものが5,000円や4,000円で売れました。それを数回、ソフトを変えて繰り返しました。


ただ、この行為が結果的に致命傷となりました。